新朝ドラ・虎に翼のモデル三淵嘉子さんの生涯とは?

2024年4月から、NHKで新朝ドラ・「虎に翼」がスタートします。本作のモデルとなった日本初の女性弁護士、日本初の女性裁判所長である三淵嘉子さんの生涯とはどのようなものだったのでしょうか。
主役の三淵嘉子さんを女優・伊藤沙莉さんが演じるとなって、さらにドラマが待ち遠しいです!

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三淵嘉子さんの生い立ち

三淵嘉子(旧姓:武藤)さんは1914年、シンガポールで出生しています。5人兄弟の長女として生まれ、下の弟たちを引っ張っていく頼もしい存在だったようです。頭が良く、朗らかで同級生からも人気があり、嘉子さんの周りには自然と人が集まってくる、そんな存在でした。父親は台湾銀行に勤めており、民主的で現代的な考え方を持つ人でした。父親は嘉子さんに女性として平凡な人生を送るのではなく、専門職について社会で活躍することを期待し、幼少期から職業婦人となるよう諭していたようです。そして嘉子さん自身も「社会に出て仕事をしたい」という考えを持っていました。そして教育を受けて知識を深め、弁護士になることを薦めた父親の影響もあってか、法律の世界へ足を踏み入れることを決意しました。この頃は“法律を勉強する=嫁に行けなくなる”という風潮があり、父親以外の人間は法律を学ぶことに反対しましたが、嘉子さんは自身の道をまっすぐに歩みました。

正義感が強く努力家とも言われていた嘉子さん。幼少期の嘉子さんの人物像から、弁護士になるべくしてなった!という感じがしますね。

弁護士になるまで

1933年弁護士法が改正され、女性も弁護士になることが認められました!嘉子さんは、女学校卒業後、明治大学専門部女子部法科に入学し、卒業後さらに明治大学法学部に編入、1938年に大学を卒業しました。ちなみに大学でも成績優秀で卒業式では総代で卒業証書を受けとったようです。卒業後、高等文官試験司法科を受験し、見事にストレート合格しました。この時中田正子さん、久米愛さんという2人の女性も、合格しています。新聞各紙は3人の合格を大きく取り上げました。3人は1年半弁護士試補として修習を受け、1940年、いよいよ女性弁護士としての歩みをスタートさせます。が、スタートした後1年程で太平洋戦争が始まり、弁護士としての活動期間は短かったようです。この頃、嘉子さんは母校で民法の講師も務めていました。私生活では1941年に実家に書生として暮らしていた和田芳夫さんと結婚し1943年には長男、芳武さんが誕生しています。しかし、芳武さんが生まれて1年程で芳夫さんの元に召集令状が届き出征することとなり、結婚生活も長く続きませんでした。

裁判官になるまで

戦争ですぐ下の弟を亡くし、戦後も夫の芳武さんを病死で亡くし、大きな悲しみの中さらに不幸が続いてしまいます。嘉子さんの両親があいついで病死してしまうのです。嘉子さんは一人で残された弟達の学費と、自らの生活費を稼ぎながら息子を育てなければならなくなりました。そして経済的なことを考えると同時に“自分が本当にやりたかったこととは何か”を見つめ、裁判官を目指します。1947年司法省へ裁判官採用願を提出しますが、すぐには裁判官の採用が認められませんでした。2年間は司法省や最高裁で裁判官になるための努力を重ね、1949年になってようやく東京地裁民事部の判事補に任用され、女性裁判官としての採用が決まります!
その後アメリカでの経験を経て1952年、ついに女性初の判事が誕生します!さまざまな民事裁判、少年審判を担当し女性が社会で実績を築き、認められることの大切さを説きました。

実績をあげて社会での女性の地位を切り拓いていったんですね!!

再婚とその後の活躍

嘉子さんは1956年最高裁調査官だった三淵乾太郎さんと再婚しています。この頃(1951年~1972年)は母校の兼任教授や兼任講師として働いていたようです。1972年には女性初の家裁所長に就任し、職務を全うします。三淵さんは裁判所という場所は、人とその生活を扱う場所であると考え、家庭問題に対して暖かい配慮を持って接しました。また少年問題に関心を持ってもらうために、社会で啓蒙活動も行っていました。その後1979年に退官を迎えますが、退官後も多くの要職を歴任し、社会での功績を残しました。
1984年にこの世を去りましたが、その生涯は法律界で女性の地位を築き上げた証として、今も語り継がれています。

まとめ

「法律を学ぶのは男だけ」という世間の風潮の中、自分の価値観で法の道を志し、戦時中、戦後も困難を乗り越えながらキャリアを積み続けた三淵さん。前例がないからと諦めず、地道な努力と実績を積んだからこそ女性初の判事となり、さらには裁判所長まで登り詰めることができたのでしょう。そして退官した後も社会の為に行動し続けた姿勢に感動しました。朝ドラで伊藤沙莉さんがどのように演じ、物語がどのように進められるのか楽しみです!

★この記事の参考書籍と参考サイト:「三淵嘉子と家庭裁判所 清水聡」 「明治大学WEBサイト」

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